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» Railroad of IHATOV [ 岩泉線 | 山田線 | 花輪線 ]
 JR東日本、盛岡を起点とする花輪線、山田線、岩泉線のローカル3路線。北東北の景観に魅せられる人は数多い。地方線への懐古的な思いだけでなく、盛岡の鉄路には不思議な魅力がある。国鉄型車両のキハ58・52が、懐かしい国鉄色に塗り替えられ鉄道ファンの人気を博したが、花輪線は2007年3月18日、山田、岩泉線は同年11月24日から、キハ58・52はキハ110に置き換えられ、新しい世代が走り出した。写真は2002年から2007年までの5年間の記録であるが、時間がゆっくり流れる場所とは言え、5年の歳月は景観を大きく変えてしまう事を改め感じている。

 岩手をイーハトーヴと名付けた宮沢賢治。岩手は旧仮名使いでイハテ、そのテをエスペラント風にトと、ドイツ語で場所を意味するヴォをつけたイハトヴォからイーハトーヴ。明治29年に花巻に生まれ、多くの物語を残し37歳で逝った青年農業技師宮沢賢治。その情熱を注いだ故郷の土壌改良は生前は報われなくとも、土づくりという農業の基礎となり、岩手りんどう成功の原点となっている。花輪線は石川啄木が、おもひでの山、おもひでの川と歌った故郷の風景を走り、山田線は、古くから信仰の山とされる早池峯山の麓を閉伊川に沿って走る。鉄路の情景からも民話、物語が生まれた背景を感じる事ができる場所。誰もが物語の世界に触れることができる場所。それが岩手の魅力なのかもしれない。啄木は故郷をこう書いている「この美しい盛岡の、最も自分の気に入って見える時は、一日の中では夜、天候では雨、四季の中では秋である」と。しかしながら、凡人の私には、思うように写し撮れないのが歯痒い処だ。



» 里山四季眺望 - JR東日本 岩泉線 [ The Four Seasons ]

»冬 [ 17Image ] »春 [ 17Image ] »夏 [ 17Image ] »秋 [ 17Image ]
[ Film Year 2005-2007 ] Updating 2008-06-27

 深い谷間の駅、単行の気動車、山間にへばりつく線路と里山の光景。美しい四季の景観、奥の細道の更に先。ここには、何時までも続いてほしい鉄道情景が残されている。旧国鉄時代、特定地方交通線の設定で赤字ローカル線は廃止か第三セクターでの存続かを迫られた。岩泉線は沿線道路の未整備を理由に、地域住民の足として廃止を免れ現在に至る。 21世紀奇跡のローカル線と呼ばれる理由である。岩泉線の運転本数は1日僅か4本、始発列車は岩手和以内で折り返し、押角峠を越えて岩泉まで向かう列車は日に3往復。その列車も朝一往復、そして夕刻と夜の2往復みである。JR東日本から廃止提案がなされるほどの不採算路線であるが、公共交通機関の使命として存続している岩泉線に特別な思いを感じるのは私だけではないだろう。




» 岩手鉄道情景 - 花輪線キハ58・52最後の冬 [ 17Image ]
[ Film Year 2007_January_February_March ] Updating 2008-06-30

 25年の休眠から復活した鉄道写真。遠征を再開して、訪問の地に選んだのが北東北は岩手、花輪線から山田線、岩泉線を巡る旅。以来、イーハトーヴの鉄路情景に魅了され、同線に国鉄色の車両が走り出したことも訪問回数を増やす結果なる。花輪線、山田線、岩泉線。特に岩泉線の山里情景には強く引かれた。反面、花輪線はリゾート開発の名残と、並走する国道と高速道路に沿線情景の特徴を見出す事が出来ずに後回しにしていた。花輪線は秋田の鉄路訪問と合わせてと。そう考えていた矢先、キハ110への置換えが発表。花輪線、国鉄型気動車、最後の冬が現実となってしまった。

 冬の北東北遠征は花輪線を中心にすることにした。石川啄木が、おもひでの山、おもひでの川と歌った故郷の風景。盛岡から北上して北上川を挟んで右に姫神山、左に岩手山。北上川を天の川に例え、彦星が岩手山で織姫が 姫神山と云われていることから、花輪線イーハトーヴの鉄路情景として姫神山と岩手山に拘る事に決めた。

 岩手山と姫神山。花輪線では好摩〜安比高原と撮影場所の選択肢は多い。姫神山は好摩。岩手山は花輪線の有名撮影地、安比高原に絞った。安比高原は我々の年代だと龍が森と言った方がシックリする。廃業したスキー場に登れば岩手山をパノラマで望む事ができる。難点はゴルフ場のコースが気になる事だが、冬はコースが雪で覆われ気にならなくなる。代わりに雪の斜面と格闘しなくてはならない。夜明けと共に天候が変化するこの季節、岩手山は明け方、登る前に星が見えていてもスッキリ見える保障はない。好摩側では見えている岩手山も、安比高原からは雲がかかる事もある。国鉄色車両の運用と気象条件が合致するのは稀。遠方、休日遠征の身の上では思うような成果は残せなかったのが心残りではある。岩手山にかかる雲に、一喜一憂しながら、ひと時を楽しんだこの山が、再び同好者で賑うのはキハ110が引退する十数年後かも…。そんな事をふと思った。

記録的な暖冬。例年と比べて花輪沿線も雪がかなり少ない、雪煙を巻き上げ疾走するシーンには余り出会うことは出来なかった。この地で生活する方々にしてみれば、雪解けも早く楽な冬だったに違いない。 花輪線、山田線、岩泉線を走る国鉄型気動車には「白鬼」「赤鬼」の呼び名がある。車体の色からの連想だが誠に秀逸。「あかべこ」といい、東北の車両ニックネームは文化を連想させる上手さがある。花輪線から鬼たちが去って、再び北東北から雪の便りが届く頃、山田線、岩泉線の鬼達も去っていった。

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