» 岩手鉄道情景 - 花輪線キハ58・52最後の冬 [ 17Image ]
[ Film Year 2007_January_February_March ] Updating 2008-06-30
25年の休眠から復活した鉄道写真。遠征を再開して、訪問の地に選んだのが北東北は岩手、花輪線から山田線、岩泉線を巡る旅。以来、イーハトーヴの鉄路情景に魅了され、同線に国鉄色の車両が走り出したことも訪問回数を増やす結果なる。花輪線、山田線、岩泉線。特に岩泉線の山里情景には強く引かれた。反面、花輪線はリゾート開発の名残と、並走する国道と高速道路に沿線情景の特徴を見出す事が出来ずに後回しにしていた。花輪線は秋田の鉄路訪問と合わせてと。そう考えていた矢先、キハ110への置換えが発表。花輪線、国鉄型気動車、最後の冬が現実となってしまった。
冬の北東北遠征は花輪線を中心にすることにした。石川啄木が、おもひでの山、おもひでの川と歌った故郷の風景。盛岡から北上して北上川を挟んで右に姫神山、左に岩手山。北上川を天の川に例え、彦星が岩手山で織姫が 姫神山と云われていることから、花輪線イーハトーヴの鉄路情景として姫神山と岩手山に拘る事に決めた。
岩手山と姫神山。花輪線では好摩〜安比高原と撮影場所の選択肢は多い。姫神山は好摩。岩手山は花輪線の有名撮影地、安比高原に絞った。安比高原は我々の年代だと龍が森と言った方がシックリする。廃業したスキー場に登れば岩手山をパノラマで望む事ができる。難点はゴルフ場のコースが気になる事だが、冬はコースが雪で覆われ気にならなくなる。代わりに雪の斜面と格闘しなくてはならない。夜明けと共に天候が変化するこの季節、岩手山は明け方、登る前に星が見えていてもスッキリ見える保障はない。好摩側では見えている岩手山も、安比高原からは雲がかかる事もある。国鉄色車両の運用と気象条件が合致するのは稀。遠方、休日遠征の身の上では思うような成果は残せなかったのが心残りではある。岩手山にかかる雲に、一喜一憂しながら、ひと時を楽しんだこの山が、再び同好者で賑うのはキハ110が引退する十数年後かも…。そんな事をふと思った。
記録的な暖冬。例年と比べて花輪沿線も雪がかなり少ない、雪煙を巻き上げ疾走するシーンには余り出会うことは出来なかった。この地で生活する方々にしてみれば、雪解けも早く楽な冬だったに違いない。
花輪線、山田線、岩泉線を走る国鉄型気動車には「白鬼」「赤鬼」の呼び名がある。車体の色からの連想だが誠に秀逸。「あかべこ」といい、東北の車両ニックネームは文化を連想させる上手さがある。花輪線から鬼たちが去って、再び北東北から雪の便りが届く頃、山田線、岩泉線の鬼達も去っていった。
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